プレスリリース

水素処理により半導体用多結晶ゲルマニウム薄膜の性能を飛躍的に向上 (2025.6.19)

 半導体デバイスに用いる多結晶ゲルマニウム(Ge)薄膜について、その品質を向上させた上で水素添加を行うことで、正孔密度が顕著に低減することを発見しました。また、追加の低温熱処理により、水素導入時に生じるGe表面のダメージを回復し、正孔密度をさらに低減させることに成功しました。

 情報化社会の進展に伴い、半導体デバイス性能の革新が求められています。中でも、ガラスやプラスチックといった絶縁体上に高品質なゲルマニウム(Ge)薄膜を形成できれば、高性能な薄膜トランジスタを用いたディスプレイ端末や三次元LSI(大規模集積回路)、さらには低コストかつ高効率な薄膜太陽電池の実現も期待されます。そのため、基板や既存素子にダメージを与えない500℃以下の低温プロセスによるGe薄膜合成の研究が盛んに行われてきました。

 半導体デバイスの作製には、電荷を運ぶキャリア密度の制御が必須です。しかし、Geは結晶内の欠陥(原子配列の乱れ)がアクセプタ(正の電荷を生み出す不純物)となるため、これまでキャリア密度の制御が極めて困難でした。

 本研究では、多結晶Ge薄膜の品質を向上させた上で水素添加を行うことにより、正孔密度が顕著に低減することを発見しました。また、追加の低温熱処理を行うことで、水素導入時に生じるGe表面のダメージを回復し、正孔密度をさらに低減させることに成功しました。その結果、従来比で3桁低い、1014cm-3の正孔密度を達成しました。

 本研究成果は、Ge系電子デバイスの性能向上と実用化への展開が強く期待されます。 

 詳細は筑波大学のプレスリリースをご覧ください。

      筑波大学数理物質系 都甲薫教授